投稿者: kamegoro
投稿日時: 25/10/13 18:15:00
遅ればせながら参加させていただきます。全ての投稿をチェック出来ていないので既出の内容であればご容赦ください。
以下の様に考えてみてはいかがでしょうか。
図の投稿は難しいので文章でなるべく定量的に書きますので想像しながらご参考いただければと思います。
直熱管300Bの動作を例にします。
Vp=300V、Vg=-60V時に、Ip=70mA流れるとします。
更に、ヒーターは5VのAC点火で中点が接地(0V基準)とします。
この時、ヒーター両端の電位差は、5Vサイン波のピーク値として最大±3.5V交互に変わります。
有限の長さを持つヒーター電線中には最大7Vの電圧分布の傾斜が出来るわけです。
その時、ヒーターの場所に対するVpおよびVgも±3.5V相対的にシフトしますので、ヒーターから放出される電子エミッションも傾斜を持ちます。
プレート特性図をじっくり読んで概算すると、ヒーター電位が±3.5V変化したらヒーターの場所によって最大3.5倍ぐらいエミッション(電流)が変わるようです。
例えば、これをエイヤで極論してヒーターの2箇所だけで考えると、ヒーターが-3.5Vの所からIp=15mA、+3.5Vの所から55mAのエミッションがあり、足してIp=70mAとなります。
ヒーターを20箇所に分割して考えるとヒーターが-3.5Vの所からIp=1.5mA・・・0Vの所で3.5mA・・・+3.5Vの所から5.5mA、20カ所全部足してIp=70mAという具合です。
上記のようにヒーターの場所によって部分エミッション(部分Ip)が変わりますが、交流点火ではそれがAC周期で入れ替わるので時間平均すれば場所による偏りは無くなります。
次に5VでDC点火して中点接地としますと、ヒーター両端の電位差は常に±2.5Vになります。
この場合、ヒーター両端で2.5倍ぐらい部分エミッションが変わるはずです。
AC点火と同様に2カ所だけで考えると、ヒーターが-2.5Vの所からIp=20mA、+2.5Vの所から50mAのエミッションがあり、足してIp=70mAとなります。
20箇所で考えるとヒーターが-2.5Vの所からIp=2mA・・・0Vの所で3.5mA・・・+2.5Vの所から5mA、20カ所全部足してIp=70mAという具合です。
AC点火と異なるのは極性が入れ替わらず常に続くことです。
これが「片減り」の根拠となっている物理現象だと思います。
定格動作内のヒーターからの部分エミッション分布を考えた時、最大2.5倍程度の定常的な傾斜が、長期寿命に実質的な影響を与えるかどうかは分かりません。最大定格一杯で使っていると差が出るかも知れませんし、その差に着目して手当てするのがアンプビルダーの拘り(楽しみ)です。一方、定格8割ぐらいで使う私の経験では、誤差の範囲と勝手に判断してDC点火しています。
長文失礼いたしました。