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2 S J 2 0 0 / 2 S K 1 5 2 9 パワーアンプ
モノラルまきなおし

高い基本性能を持つアンプだったけれど、2チャンネルアンプではどうしても入力ケーブルの アースループがハムを拾ってノイズレベルが上がるのが我慢でず、鬱積した思いがプッツンした弾みからついバラしてしまいました。
そして数ヶ月、その時に失った音を取り戻すために再設計し、凍結保存していた部品のリユースで2台のモノラルアンプに甦らせました。
ついでに保護回路やら何やら付け加えてコンプリート、もうこのアンプに何も恐れるものなどないのだ。
光子力インシュレーターが△×□@#£*音の○☆※∞∴♀≠◇のようだ。


ステレオアンプからモノラルアンプへ、大分割構想

先ずはケースから、タカチHY133-23-23BB(W230×H132.5×D231)を真っ向からスパッと断ち割ってやりました。
ケース二つ割りは、立体のままレーザービームでとか、もちろん南斗水鳥拳や漸鉄剣でもなく、パネルの状態で1枚ごとに卓上バンドソーでシコシコと切断しました。

電源トランスやブロックコンデンサ等の電源部分を磁気シールド効果のある鉄製サブケースに収納し、それが側面パネルを兼ねる合理的なデザイン。

電源を収めるサブケースここに注文しました。制作費を安く上げるために同一のものを4個お願いしたら試作 の1個を含めて5個届きました。
その内の2個を卓上バンドソーで24mm短く切り詰めて、その切れ端と余分の1個から 、ケースにサブケースを固定する取付板を製作しました。


穴あき基板一枚に電源以外の全てを載せました。

発熱のある部品を放熱器に基板と共締めする。

アルミ材で作ったスペーサを噛ませて放熱器と素子の高さの差を埋めてあります。


アンプ回路

出力段MOS-FETのゲートドライブを、トランジスタとJ-FETのコンプリメンタリ・プッシュプルで行いました。

モノラル構造ではありますが、ACインレットのアース端子がケースに接続する構造になっていることから、LchとRchの電源コードのアース線を通してアースラインにループができてしまいます。
そこで電源コードのアース線を接続しても問題ないように、ケースのアース(FG)と信号系路のアース(SG)の間にダイオードを入れて、アースラインのループに発生するノイズの電圧がダイオードの閾値(約0.5V)以下では アースループに電流が流れないようにしました。
ダイオードは大電流MOS-FETのボデーダイオードを利用しました。

配線ケーブルを含むアースラインの誘導ノイズ対策

交番磁界中の配線ケーブルには誘導ノイズ電圧Vnを発生している。

そして配線ケーブルがループを形成していると、Vnに応じた誘導ノイズ電流が生じて、入力側の配線インピーダンスに誘導ノイズ電流に応じたVnを発生して、アンプの入力となって増幅されてスピーカからノイズ音が聞こえることになる。

入力ケーブルがシールド線ならば信号ラインとアースライン発生するVnは等しい電圧のために打ち消されて、誘導ノイズ電流は生じず、アンプの入力にノイズ電圧としては現れず問題とならない。

問題は入力ケーブルのLchとRchが離れている場合、LchとRchの入力ケーブルに発生するVnが等しくならない。

その状態でLchとRchのアース同士を接続すると、LchとRchのアースラインに発生するVnの電圧差が入力アースラインのインピーダンスに 表れてアンプに入力される。

対策としてLchとRchのアースを分離するためにモノラル構成にしたとしても、アース線を持つ電源ケーブルを使用した場合には 、アース同士の接続ラインで大きなループが形成されて、そこでも誘導ノイズ電圧を発生する羽目になる。

そこでLchとRchのアース同士を直接に接続しないで、互い違いに並列接続したダイオードを途中に入れる。

すると、ノイズ電圧がダイオードの閾値電圧以下ならば、ノイズ電圧はダイオードだけに発生して入力アースラインのインピーダンスには発生しなくなり、結果的にアースラインに発生する誘導ノイズ の影響をなくすことができる。

 

実際の効果

ダイオードが無い場合は、写真のように出力に10mVp-pのノイズを発生しました。 スピーカから2m離れた位置でもジーっという音が気になります。

5mV/DIV

ダイオードがあると、アンプ単体の時のノイズと変わらず、聴感補正フィルタJIS(A)有りで12μV程度。スピーカに耳を押し付けても何も聴こえません。

5mV/DIV


出力MOSーFETのドレイン電流検出抵抗には面実装タイプの2Wチップ抵抗器RL7520W 0.1Ωを2枚重ね合わせ並列接続して50mΩとして使いました。


出力ミューティング回路

出力端子と並列にC+Rを入れると方形波がオーバーシュートするために省きました。
スピーカの前で大きな音をさせて高電圧が出力側から来るとかの、まさかの場合に備えてミューティングスイッチのMOS-FETを保護するクランプするダイオードを入れました。


プロテクション回路

スピーカーとアンプを保護するために、出力のDC電圧と過大電流を検出して、出力と電源を遮断するプロテクション回路を装備しました。

出力MOS-FETの過電流の検出値はVDSに応じて変化します。

異常に高い気温とか放熱器が覆われて通気しないとかで放熱器が過熱した場合に、温度センサで電源を遮断して重大な事故に陥るのを防ぐようにしました。
そのための使う温度センサですがセンサだけに千差万別、バイメタルや形状記憶合金とかサーミスタや専用IC等ありますが、本機に使用したのは感温磁性材を使用したトーキンのサーマルガードです。
これには扱える電圧、電流の範囲や相当の接触抵抗がありますので、そうした条件 を踏まえた設計にしてあります。


電源回路

DCサプレッサ

AC電源ラインにDC分が重畳して発生する電源トランスのうなり音を徹底的に無くすため、シリコンダイオード4直列による強力なDCサプレッサを装備しました。
インラインタイプのブリッジダイオードを2個を使い下図のように2通りの方法を考えましたが、右側のスマートな配線の方を採用しました。

 
ダイオード4直列クロス並列

完全に無音になるかといえば、トランスの出来不出来の個体差によるものか、Rchはアンプに耳を寄せるとトランスの唸りが聞こえます。
巻線がコアの中心点に対する綺麗な放射状でなく斜交いに巻かれていたり、巻きムラがあって厚みが不均一なために、取付の円盤型押さえ板が部分的にしか当たらないことなどが原因ではないかと思います。
現物を手に取って買うことが出来たなら造りを確かめて選べたのですが、通販では叶わぬこと、機会があれば製造工場に出向いて作業指導して、自分のだけでもいいやつを造ってもらおうかと。

MOS-FETスイッチ

電源オンから1秒余りで突入電流のショック無しにフワッと音が出ます。
また電源オフでは瞬時にアンプとスピーカが切り離され、スパッと音が消えます。
これらのシーケンスはソフトON&クイックOFF動作するMOS-FETスイッチ回路によって行われます。
そのため電磁式リレーのように不快な機械音の発生や接点の接触抵抗の変動が無く、確実に安定に動作します。

AC(交流電流)対応MOS-FETスイッチ

OFF状態

ACではボディーダイオードに電流が通らないように、
2個のMOS−FETのソース・ゲートを共通にした直列接続で使う。
ゲート・ソース間電圧が無い場合はチャネルがOFF。
高い周波数成分はMOS−FETの電極間容量を通り抜ける。

ON状態

ゲート・ソース間電圧を与えるとチャネルがONする。
オン抵抗がMOS−FETのチャネル抵抗 2個分となる。

OFF状態

ブリッジダイオードで整流してMOS−FETを1個にした回路。
ゲート・ソース間電圧が無い場合はチャネルがOFF。

ON状態

ゲート・ソース間電圧を与えるとチャネルがONする。
ブリッジダイオードによる電圧降下がある。
ブリッジダイオードによる電圧降下をDCサプレッサに利用できる。

MOS-FETスイッチのドライブ回路

下図のようにMOS-FETをONするに要するゲート電圧は、フォトダイオードアレイとLEDの組み合わせによるフォトカプラ(PC2)から得ています。
ショックノイズを防ぐ目的で緩やかにONするように、遅延回路(RTとCT)をMOS-FETのゲート側に設けました。
フォトトランジスタとLEDの組み合わせによるフォトカプラ(PC1)は、Q3によってCTを放電し遅延回路をリセットするためのものです。
PC1とPC2の両方のLEDに電流を与えるとONします。
PC1のLEDの電流を切ると速やかにOFFします。

電源シーケンス

電源が入ると、メイン電源トランスの1次側はMOS-FETスイッチがOFF状態にあるため、サブ電源トランスだけが通電します。
サブ電源トランスの2次側の電圧(約+7V/-7V)で電圧増幅段と保護回路が動作します。
この段階で保護回路が異常を検知すると、2色LEDインジケータの赤色LEDが点灯してMOS-FETスイッチのフォトカプラのLEDに必要な電圧が掛からず、メイン電源トランスには通電されないままの状態とな ります。
異常が無ければ2色LEDインジケータの緑色LEDが点灯し、MOS-FETスイッチのフォトカプラに通電します。
すると先ず、突入電流制限抵抗側のMOS-FETスイッチが、遅延回路の時定数が小さいので先にONし、AC電源電流が突入電流制限抵抗を通り、メイン電源トランスの1次側に通電します。

続いて、遅延回路の時定数の大きいブリッジダイオード側のMOS-FETスイッチがONし、DCサプレッサダイオードを経由する通常動作の通電状態になります。
突入電流制限抵抗は、DCサプレッサダイオードと並列接続された状態になります。
ブリッジダイオード側のMOS-FETスイッチをONするタイミングが早すぎると、突入電流が充分に下がり切らず、トランスが一時的に唸りを発することがあるので、タイミングを決めるコンデンサ を調整します。
出力段の電源電圧が、4個のポリウレタン脚に埋め込んだ白色LEDの電圧(約15V)以上にまで上昇すると、出力ミューティングのMOS-FETスイッチがONします。
この時には、すでに出力段が十分に安定な動作状態になっているため、ポップノイズの発生はありません。


出力-THD特性 (VP-7722Aで測定[LPF:80kHz]  8Ω抵抗負荷)


周波数-THD特性 (VP-7722Aで測定  出力1W/8Ω抵抗負荷)


 

アンプの顔が寂しいと思い、そこらに転がっていた板切れを両面テープで貼り付けてみました。
何をしてもいい物はいいんだなと独り納得。
板材はパーロッサ、ロッサというだけあって写真のように赤い。
 


ポリウレタン脚にLEDを埋め込む穴を開けるには、穴径5mmの皮抜きポンチを使いました。

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