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百聞は一聴にしかずコンサート報告

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皆さん熱心に聞いて下さいました。


目次
参加レポート
出展アンプの顔
出展アンプの解剖


4月15日、「手作りアンプの会」が発足して初めての試聴会が無事終了しました。雨の日にもかかわらず18人の参加者があり盛況でした。開催場所はコイズミ無線イベント会場をお借りしました。

アンプの出展者は宇多さん、木村さん、田村、田中さん(発表順)でした。今回は会の趣旨に習って個性的な回路のアンプを集めました。

スピーカは、島田先生作のアルパインDDDSのほか、ダイヤトーン2S305。こちらは、ダクトに宇多氏持参の座布団を挿入して使用しました。

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舌出し2S305                    青いコーンのDDDS5

第二部では、中野さんが省エネ・トランジスタPPアンプ、多賀さんがジルコン砂入りアンプを持参、CDプレーヤーの上で砂が漏れて顰蹙を買う。また、各アンプの解剖と写真撮影が行われました。

雨の中を参加されました皆様、お疲れ様でした。


参加レポート

小川さんから頂きました

良いところ
1)作品(=発表者)の選定が良かった
それぞれアンプについてしっかりした見識をお持ちの方々が、それぞれの主張を反映した作品を見せてくださったので、内容が濃かった。
2)オリジナリティがあった
偉い先生方の回路をどれだけお金をかけた部品で再現するかというアンプ作りとは一線を画す独自の設計思想、これはお金に代えられ
ない価値がある。
3)作品内部をオープンにした
カバー、裏ブタを取って、内部の作りも見せてくれたこと。もっぱら自作を志すものにとって、すぐれた技術を学ぶ絶好のチャンス。
4)時間に余裕があった
リクエストに応じてソース、アンプの組み合わせを色々と実演することができた。
5)会場の立地が良い
秋葉にあるのが最高。

悪いところ
1)私語が多くて聞き取りにくい場合があった
2)スピーカが古臭く特殊だった
(古い設計でも現在もユーザが多いスピーカなら参考になるのですが)
3)選曲が高尚過ぎた
聞きなれない曲のほうが多くて、純粋に音質を評価するのは難しかった
(私が曲を知らないだけか?)

またそのうち、できれば年に何度かのペースでやりましょう。

匿名希望さんから頂きました

1番目:宇多さんの黒いカバー付きのアンプ

 管球アンプしか出ない音(響き)であって十分魅力的である。私には響きすぎて音がにじんで聞こえるが、作者はこの辺を承知で作っており感銘を受けた。意外であったのは、作者の言とは異なり、弦楽よりも電子音の方が不自然に聞こえたことだ。きっと響きすぎる事がこの様な印象を与えたのだろう。いずれにしても、深夜に小音量で女性ボーカルを聴いてみたい音であった。

2番目:木村さんの内部配線がすこぶる整然としているアンプ

 真空管アンプにありがちな脚色した音でなく正確で淀みの無い音であった。趣味の音と言うよりハイエンドの音と言うべきか。後で見せていただいた内部配線はすこぶる整然としていた。物作りの姿勢がそのまま音になって現れるのだろうか。 製作者がフリッパジョルダーノのノルマの解説をした。私も同じCDを持っているが、フリッパジョルダーノのポピュラーっぽさは中途半端で好きではない。自分が持参したCDをかけてもらえば良かったのだが、この時は未だずうずうしい感じがして遠慮してしまった。

3番目:田村さんの古代遺跡のようなアンプ

 形は以前からホームページで見て知っていたが、実物を見るとすぐにEARのアンプV20を連想させた。残念ながらV20の音は聴いていないので、このアンプとの比較は出来ないが、聴いたことのあるEARアンプはすべて設計者パラビッチーニ氏の作為的美音が耳についた。それに比べると田村さんの今回のアンプはとっても素直な音であり、趣味の音というよりも、良い意味でハイエンド・オーディオの音に近いような気がした。私は彼のアンプの音色は創生(製)期より聴き知っているので、これが彼の1パートリー(only a part of)でしかないことを承知しているが、きっと今回のアンプの音は結構本人が好きな音であると思う。ちなみに私はどちらかというと、彼が自慢しない比較的小さなアンプの大ファンである。いずれにしてもここでかけてもらったCDは、私がLP時代から二十数年聴きつづけてきたミッドナイトシュガーであったので、その厳しく鍵盤を叩く音に注意していたが、滲むことも無く、あっけないほどきれいに音が立ったのには本当に感心した。ここでのスピーカーの能率の高さも幸いしたのであろうか。我が家ではLPでは出るのに、CDでは出ず、去年CDドライブをP0に替えてやっと出るように成ったばかりである。

4番目:田中さんの超個性的なアンプ

 結論から言うと、私のように普段トランジスタの音しか聞いていないものは、石の使われていないという一つ目のアンプが最も魅力的で、響き具合がちょうどよく感じられた。パワートランジスタと管球混合の二つ目のアンプは、回路オンチの私にはありがたさが良く分からず、また音も市販のトランジスタA級アンプ(例えば昔のミュージカルフィディリティのA1など)や最近の管球プリメインアンプ(例えばユニゾンリサーチのS2等)にあるように思えた。しかし、3つめのトランジスタアンプには驚いた。これは、たいへん音が締まっており(もちろん前の2つを聞いた直後であることも耳に影響しているだろうが)私にはまるでゴールドムントのアンプのような、清潔なすがすがしさを感じた。それも、こんな小さな箱で! これがボーズのミニアンプを橙色で染めたような筐体ではなく、メタリックシルバーのしゃれたアルミの箱に収まって市販されたならば、私は即買う。

5番目:中野さんの省エネ、トランジスタアンプ

 今回これがもっとも私を驚かした。なぜなら、ウチで最も気に入っているパスのアンプ(Aleph0×2)と音の出方がそっくりだからである。トランジスタではああいう音の出方をするアンプは、ネルソン・パスのパス・ラボにおける初期製品(シングルエンド)を除いては、私は聴いたことが無いし、一般にも無いといわれている。どんな出方かというと、音が不意にスッと出るのだ。そして、明るくフワァとしているくせに芯があるという不思議な音である(個人的には私は、この「不思議な音」のほうが自然であると感じているが)。製作者も偶然にもといったような説明をされていたが、いずれにしても今回もっとも驚いてしまった。

6番目:多賀さんの砂入りアンプ

 見かけに依らないものはアンプも同じか。音が出た瞬間、実にまともな音であることに正直驚いた。とにかく見てくれが悪いために大変損をしている。また、砂がいっぱいに充填されているのには驚かされた。スピーカー台などの鳴き止めに入れるのはよく行われるが、回路の振動防止として使われたのを見るのは初めてだ(雑誌の月刊ステレオか季刊オーディオアクセサリーの特集で、変な充填剤をアッテネータに入れているのは見たことがあるが)。砂が効いているのかどうか、かなりソリッドな音でありまともである。是非、ウチの小さなコーン一発で構成されているJBLモニター1でジャズを聴いてみたいと思った。

中村さんより頂きました。

 「手作りアンプの会」試聴会感想

 4/15、コイズミ無線で行われた「手作りアンプの会」試聴会に参加させていただきました中村です。当日はあいにくの雨天でしたが、幹事の田村さん他、力作のアンプを持ち寄って参加していただいた方々のお陰により、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。

 まず、1番手の宇多さんのEL34超三アンプですが、宇多さん自身が、「作り物の音楽しか鳴らさない」と冗談を言われたように、真空管アンプのデモとしては珍しく、フュージョン系のCD中心の試聴となりました。
 メリハリの効いた明快な音で、ギターやエレキベースの切れ込みが鋭く、ドラムスのインパクトも強く、リズムの躍動感にも優れ、音楽を楽しめるアンプだったと思います。「家では高調波が盛大に出て、あまり良くない」と言われた弦も、試聴時のシステムでは、若干スレンダー気味ながら、結構スムーズに鳴っていたと思います。

 2番手のぺるけさんのアンプは、普段常用されているものということで、さすがにこなれた感じの音でした。ここの常設の2S−305がこれほど、ボディのしっかりした、豊かなサウンドを聴かせてくれたのは私の記憶では初めてではないかと思います。フィリッパ・ジョルダーノやバレンボイムのタンゴのCD等、メロディアスな選曲もあり、じっくりと音楽に浸ることが出来ました。
 実は、私がNIFTYのAVフォーラムに入っている関係で、ぺるけさんの事は、ネット上では存じておりましたが、お書きになる文章から受ける印象以上にフランクな方だと感じました。その一方で、アンプの内部配線を拝見すると、大変丁寧な結線がしてあり、几帳面なお人柄をも感じることが出来ました。

 3番手の田村さんの6AN5−8パラアンプは、外観は異様な感じがしましたが、出てきた音は非常に素直というか、良い意味でのハイファイ・サウンドという感じでした。フェイ・ウォンのヴォーカルや、TBMのジャズなど、試聴した音楽のジャンルも様々でしたが、シンセサイザーとボーカルの作り出す音場の透明感、ピアノの立ち上がりの速さ等が印象に残りました。

 4番手の田中さんの試聴は、同一のソフトを3種類のアンプで鳴らして頂いたので、AB比較が容易で、非常に特徴が掴みやすかったです。音としては、真空管のアンプは厚みのある、柔らかい音。タマリントンはバランスが良くて、中庸の音。「赤いキツネ」はハイスピードで、締まった感じの音という印象を受けました。個人的には、グレンミラーはタマリントンで、こきりこ節は「赤いキツネ」で鳴らしたときの音が気に入りました。

 宇多さんの1619超三アンプに、大沢さん持参の巨コンを取り付けたときの試聴も、大変面白い体験でした。ダイアナ・クラールの「My Love」を試聴させてもらったのですが、冒頭の指パッチンの音の響き具合、ベースの運指の様子などが、格段に明瞭になり、改めて、コンデンサーが音に与える影響の大きさを感じました。

 次に、飛び入りで参加された、多賀さんの砂入りアンプですが、同じ秋月のアンプユニットをそのまま組んだ物との比較試聴では、やはり、砂による制振効果が聴いているのか、余分な響きが取れ、スッキリとした音になった印象を受けました。低コストで、何とか音質を向上させようという、製作者の努力が感じられるアンプだったと思います。

 最後に、中野さんの省エネアンプですが、まず、そのユニークな設計意図に感心させられました。オーディオファイルには、まるで火鉢のように熱くなるアンプを使って喜んでいる、環境にやさしくない面々(笑)が少なからずいると思われますが、このアンプは、そういった人達へのアンチテーゼとして、立派な主張を持っていると思います。パワーが若干不足気味なのか、少し、強音部でのサチったような音が気にかかりましたが、音は明るめで、ストレスがなく、聴きやすいという印象を持ちました。

 それにしても、今回のアンプ試聴会は、参加された方々のアンプ設計手法のユニークさが印象的でした。通常、球アンプの試聴会というと、1本ウン万円の高級品や、ヴィンテージの珍しい球や、徹底的に物量を投入した作品を聴かされて、自作への敷居の高さを感じさせられて終わることが多いのですが、このような、コストよりもアイディアを活かしたアンプの数々を聴くと、自分でもやってみたくなります。今回の集まりで得た、自作の先達の方との交流を大切にして、自分もいつか自作アンプを発表できたらいいなと、思ってしまいました。


出展アンプの顔

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宇多さんのEL34超3アンプ

宇多さんが出張デモ用によく使用されるアンプです。
超3らしい力強い音です。

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木村さんの6AH4GT全段差動PPアンプ

有名なアンプです。
PPなのにSEの様な音がでます。あらゆるジャンルのソースをそつなくこなします。

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田村作6AN5−8パラSE強NFアンプ

見た目は小さいのですが、動作させる為には下にある電源ユニットが必要です。冗談の様なアンプです。

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左ICアンプ 右タマリントン

田中さんのタマリントン(右)、ICアンプ(左)

1.「イ99号移動モニター」、軍艦マーチで有名な6BM8PPアンプ。
 増幅系に半導体を一切使用しない純真空管サウンド

2.たまりントン玉石混淆アンプ。
 真空管50%、半導体50%のブレンド。MJ発表の97式ではなく、燃えるという欠点はあるが部品点数が少なく、新鮮な音が出る初代たまリントンを復元。完成したのは、開戦当日の未明。例によってまた突貫工事。

3.「ハ0号汎用アンプ」 通称「赤いキツネ」 PhilipsパワーICアンプ
 真空管を一切使用しない純半導体アンプ。道場破りの挑戦を受けた場合の迎撃用として建造したもの。なお、同型機である「緑のタヌキ」は今回、上記のたまリントンに化けて貰った。

グレンミラーの「タキシードジャンクション」を続けて3台で聞き、次に、渡辺香津美の「こきりこ節」を続けて3台で試聴。結果は真空管→滑らかさ、まろやかさがある。半導体→スピード感、解像力に優れる。たまリントン→両者の中間的な音。ただし、唯一のシングルアンプで2次高調波を含むため、超三の味を残す。というような結果となりました。

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1619超3アンプ+巨大ケミコン

宇多さんの2台目の出展アンプです。

1619 超三アンプは Tr 電流アンプの大沢さんのご希望で、お貸しして聴いて戴き、また視聴会のあと、荒木さんに聴いて戴いております。

 大沢さんには1619 超三アンプにて「大春キャパシタ」の効果を確かめていただき、15日の試聴会にてそれをデモしました。 とにかくこれ一発で、大出力時にガタガタだった1619 超三アンプが静かになり充実したので、大いにショック。

 Tr 電流アンプでは、ステレオ+−電源で4個使うそうですが、あの電流アンプのキビシイ音の秘密は、このキャパシタによるものらしいです。 大沢さんが初めて「大春キャパシタ」を球アンプに適用し、効果を確認したのだそうです。この効果は超三アンプに限らないことでしょう。

飛び入りのアンプが2台ありました。

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多賀さんのICアンプ

秋月電気のICアンプユニットを組み込んであります。
シャーシ内にジルコンサンドを入れて防振対策をしているそうです。
欠点は電源コネクタから砂がこぼれる事です。(致命的?)

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中野さんのトランジスタB級PPアンプ

省エネを目的に設計されたアンプです。
AC100Vを倍電圧整流して、電源に使用しています。
真空管用のPPのトランスを使っているそうです。

出展アンプの解剖

回路が個性的な様にアンプの中も個性的でした。

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タマリントンの内部です。
非常にシンプルな作りです。

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全段差動PPの内部です。
整然とした配線です。

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EL34超3アンプの内部です。
再利用を考慮した配線です。

2000/4/17 田村
2000/4/21 文章追加