Evolve power amplifiers 

 

 

 

 

 

 

 

 

電流経路最短化過電流ブレーカビルトイン設計
MOS-FET(2SK3497/2SJ618)トランスリニアバイアス
70W/8Ω 2chパワーアンプファイアー

 

 

 

Design by Shinichi Kamijo  

電源バスに組込んだ過電流ブレーカで、出力段の電源を遮断して出力信号を止めることによって、出力のミューティングリレーを省く回路構成とし 、信号経路をより単純化することで、音楽を鮮明化することに努めました。
電源回路に過電流ブレーカを挿入しても、電流経路が最短となるように、電源バスラインを最適化設計しました。

やるべきことは部品に特化した配置と寸法の設計、その前に適正な部品の選定、できるなら部品の開発からやるべきなんだけど、取りあえずは先々のことよりも今できることから、現在進行中のアンプ から実行 しようではありま せんかッ。

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当時進行途中だったアンプ

縦に載せてある基板が過電流ブレーカです。

このように電流経路を銅板を使った新設計で最短化しました。

  

アンプ基板


テスト中のアンプブロック

歪率 1W/8Ω 100Hz:0.0008%、1kHz:0.001%、10kHz:0.003%
周波数特性 1W/8Ω 100kHz:-0.5dB、150kHz:150kHz:-1dB
今のところ今一なデキ

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ケース、タカチHYT149-33-23SS(W330×H149×D231)に組み立ててのテストランを実行。

人知れることなく改良に次ぐ改良の繰り返し、ようやくなんとかなってきた。TLBシリーズ伝統のアンダーイルミネーションは電灯でなくて白色LED。

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最終回路2011/11/11

アンプ回路の特徴

基本的には最近のこれまでのアンプと同様に、一段増幅の電圧増幅段にトランスリニアバイアス出力段という構成です。

電圧増幅段は入力信号を、J‐FET差動回路のソース側にあるカレントミラー回路によって、正負プッシュプルで左右バランス信号の4ポート出力に変換します。
左右バランス信号をカレントミラーでプッシュプル信号に合成して、フォールデッドカスコード回路のエミッタに入れ、コレクタ側から正負プッシュプルの信号として出力段へ与えます。
差動回路のテール電流源にはMOS‐FETとJ‐FETをカスコード接続し、そのゲートバイアスにフォトボルによるフローティング電圧源を使いました。

電圧増幅回路の概要

Q1〜Q4はgmのそろったJ-FETである。
Q2,Q3のソース側にあるQ6,Q7はダイオード接続してあり、Q2とQ3のソース電流の合計は定電流源CcによってIに一定化されている。
Q1,Q5とQ2,Q6およびQ3,Q7とQ4,Q8はカレントミラー回路であり、Q2のソース電流とQ1のドレインおよびQ5のコレクタ電流は等しく、Q3のソース電流とQ4の ドレインおよびQ8のコレクタ電流は等しい。

入力信号電圧viによってQ2ソースに信号電流isが発生すると、Q3ソースには逆向きの信号電流-isが発生すため、Q1,Q5にisが発生し、Q4,Q8に-isが発生する。
Q1,Q4のドレインとQ5,Q8のコレクタの4つの電流を、Q9,Q10とQ12,Q11のカレントミラー回路とQ13,Q14のフォールデッドカスコード 回路で合成すると、出力信号電圧voが発生する。

そもそも何故に、このように複雑怪奇と見える回路構成としたか、その理由はただ単純に、一段目の増幅回路で上下対称の動作によって出力段をドライブできる回路というものを、ひたすらに追い求めた結果なのです。

出力段はお馴染のレプリカMOS-FETによるトランスリニアバイアス回路ですが、出力段MOS-FETをドライブするエミッタフォロワを、プッシュプル回路へと地味に進化し ています。
トランスリニアバイアスは、出力段MOS-FETからソース抵抗を排除して出力抵抗を下げると同時に、出力段MOS-FETがカットオフしない準A級動作をします。
この トランスリニアバイアス回路は、出力段のドレイン電流をトランスリニアバイアスのカレントミラー回路にフィードバックする方式ではなく、レプリカ回路がリアルタイムでシミュレーションしたバイアス電圧を出力段のMOS-FETに与える方式 ですから、フィードバックによらない方式です。
フィードバックする方式は電流減少方向でカレントミラー回路の精度が低下し誤差が生じるために、この方式を断念しました。

出力段の概要

Q1,Q3は出力素子Q2,Q4のアイドリング電流を模倣するレプリカ素子である。

Q1,Q3とQ2,Q4を熱結合によって温度条件を同一にした上で、同一のゲート・ソース間電圧において、Q1とQ2のソース電流に対してQ2とQ4ソース電流が50倍程度となる物を選別し てある。

Q1,Q3のソース電流を電流源Cs1,Cs2の電流となるようにQ5,Q6がVGGを制御 して、それをQ2,Q4のゲートに与える。
Cs1,Cs2は電圧増幅回路の概要の図にあるQ13,Q14のコレクタに相当する。

Q2とQ4のソース電流IaをQ1,Q3のソース電流Isの50倍とすると、トランスリニア原理から、Ia=50Is=√Id(Q2)・√Id(Q4)である。
Q2とQ4のドレイン電流の積が一定だから、Q2,Q4のドレイン電流が0にならない、つまりカットオフしないということで、A級動作状態を成す。
ただしソース抵抗などがある場合は、この限りではない。

 

出力段MOS-FETのドレイン側に、過大電流を検出して遮断するブレーカー回路を直列に入れてます。
この電流検出にはブレーカーMOS-FETのドレイン・ソース間オン抵抗を利用しています。
ブレーカーMOS-FETのゲートドライブ電源にはフォトボルを使用していますので、外部回路からフォトボルのLED電流を切ることでも、ブレーカーを遮断できます。
出力DC成分検出回路のプロテクション・フォトMOSリレーがオンすると、ブレーカー回路のフォトボルのLEDを短絡してブレーカーを遮断し、出力MOS-FETへの電源の供給を止めてスピーカーを保護します。

電源回路は出力段と電圧増幅段で電源トランスを分けて、左右のチャンネルでも分けて、都合4個の独立電源トランス構成となっています。
ブレーカー回路が動作した場合に、出力段電源の大容量コンデンサの充電電圧が残っている限りブレーカー回路がリセットしないため、電源が切れた時点で動作する出力段電源コンデンサ放電回路を備えています。

電源スイッチをオンするなど電源投入すると、電圧増幅段の電源回路に通電されると同時に、アンダーLEDライト、差動回路のテール電流源フォトボルLED、出力段電源コンデンサ放電回路無効化フォトカプラに0.47μFで一瞬素早く通電し、更にフロントパネルのフルカラーLEDのグリーン、電流ブレーカーのフォトボルLED、更にインラッシュカレント防止回路のフォトボルLEDに定電流で通電します。
この回路の電源コンデンサ100V4.7μFは小容量であるため、AC電源が切れると即座に電圧低下して、他の電源電圧が低下する前にミューティング動作してポップ音を防ぎます。
電源投入時のインラッシュカレント防止は、出力段電源トランス一次側にあるMOS-FETによるACスイッチ回路で10W47Ωを通してAC100Vを与え、それから約1秒後に電源トランスの唸り止めダイオードを通してMOS-FETによるスイッチ回路で10W47Ωを短絡して、通常の通電状態になります。

MOS-FETスイッチに選んだ大パワーな割りにお求めやすいFDA50N50ですが、完全にONでもOFFでもない能動域の状態下で発振することが確認され 、それがポップノイズの原因となっていたため、ゲートに発振防止で100Ωを入れました。
他にポップノイズ防止策として、電源スイッチの接点にスパークキラーの追加や、前述したフォトカプラに0.47μFで一瞬素早く通電するとかしても、まだOFF時に僅かにボソッっと音を発します。

1個のLEDで、通常動作(グリーン)、DC電圧発生・出力遮断(レッド)、出力電流オーバー・出力遮断(ブルー)、オーバーヒート・電源遮断(レッド)を表示できるよう、マルチカラーLEDの3色に加えて、赤色LEDを透明エポキシ接着剤で背後から取り付けました。

オーバーヒート・電源遮断(レッド)では 同時にアンダーLEDライトが消灯することで、DC電圧発生・出力遮断 (レッド)との違いを表します。

インジケータLEDが眩し過ぎとならないように、LED頭部に光量の絞りをアルミホイルで作り貼り付けて、明るさを適当に減らしてあります。

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周波数特性 0dB=1W(RL=8Ω/1kHz)

出力−全高調波歪率特性
 f=1kHz RL=8Ω


最大出力は8Ω負荷で70W位。
4Ω負荷の場合、120Wで10秒以上連続出力すると、ブレーカーのMOS-FETの自己発熱でオン抵抗が増加してトリップする。
短時間なら出力波形がクリップしてもトリップしない。
RchよりLchのTHDが低い原因は、初段入力JFETのソース抵抗がRch:51Ω、Lch:22Ω と異なるからです。将来的にはLchも51Ωにしたいと思っていますが、いつになることやら。

周波数-全高調波歪率特性 Po=1W RL=8Ω

出力インピーダンス : 24mΩ(f=1kHz)

残留ノイズ : 96μV (ノーウエイト)    18μV (JIS-A フィルタ)

慣性質量 : 14Kg

無信号時消費電力 : 60W

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方形波応答

100kHz RL=8Ω
10kHz RL=8Ω
10kHz RL=8Ω+0.1μF
10kHz CL=0.1μF
10kHz RL=8Ω+0.47μF
10kHz CL=0.47μF
電源スイッチON時の出力ショックノイズ波形

初めのスパイク波形が電源スイッチのON時点、それから0.8秒後の出力段電源が立ち上
がりでスパイク波形が発生する。しかしスピーカは無音です。
電源スイッチOFF時出力ショックノイズ波形

スパイク波形の約3秒手前が電源のスイッチOFF時点、たまに電源スイッチOFF時点で
スピーカから音が出ることがある。
電源スイッチON時、ミュート解放時出力信号波形 f=20Hz RL=8Ω

入力に信号を加えて、電源スイッチONした時の出力電圧波形を観測しました。
画面の横軸左1目盛り目にある小さなスパイク波形が電源スイッチON時点で、それから
0.8秒後に出力段電源が立ち上がると、出力信号がスムースに発生している。
電源スイッチOFF、ミューティング時出力信号波形 f=20Hz RL=8Ω

入力に信号を加えて、電源スイッチOFFした時の出力電圧波形を観測しました。
電源スイッチOFFの瞬間に出力波形の途中から、出力の発生が無くなっています。

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リアパネルを3分割、その両サイドをアンプブロックの載るヒートシンクと一体化して、入出力の配線を最適化して、電源トランスの載るセンターのブロック部分とは、 左右各4本のビスでがっしりと繋がっています。
放熱性を増強するため、既存のヒートシンクの内側に黒いヒートシンク(202mm×50mm×30mm)を追加して います。



ケースの底にある茶色 い丸い部品は電圧増幅段のチップタイプ電源ヒューズ(0.5Aスローブロー)、これを引き抜けば電源を入れられずに悪戯防止できるが、逆に引き抜かれて悪戯をされる両刃の剣的な存在。
4隅の透明ウレタン足は、真ん中をくり抜いて白色LEDを埋め込み、通電中に本体ケースの下側を明るくします。

底板を外すと内部が見えるようになります。飛び出ているリード線は底板のLEDに接続します。

自分の時間と要した部品の処刑費約50万円也

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