擬似無響室特性を測定する場合,まず正弦波スウィープ信号でf特を測定し,その結果を逆FFTしてインパルス応答に変換します。その特性から1次反射を見つけだしてその直前で時間窓を設定します。その際のゲート時間には特に制限はなく,グラフ上で任意の場所(時刻)にマウスで設定できます。低域は直接波と反射波の時間差で決まりますので測定環境により大きく変わります。普通の部屋でスピーカーを部屋の中央付近に移動できれば,ゲート時間を3msから6msくらいとれますので,低域も300Hzから150Hz程度まで測定できることになります。特にウーファは箱の下側に位置していますので,ウーファについては1次反射込みになるのは避けられないかと思います。この場合,できるだけ高域の反射成分を抑制するため,厚めの座布団やクッションを箱の近くの床に置いています。参考までに,私のスピーカ(右ch)のDEQXによる補正特性と,補正前(CHデバイダのみ使用)のf特,補正後のf特を示しておきます(SP前面70cmで,リスニングポジションでの測定ではありません)。補正前,補正後のf特には部屋の反射波も含まれていますので,その影響が500Hz 以上で小さな凸凹として表れています。200Hz以下では部屋の定在波の影響が大きく現れています。
鍋島さん、皆さん、こんにちは。低域の凸凹は定在波の影響でしょうが、この辺りは補正できないのですか、しなかったのですか。300Hz以上は、元々の特性が良いので、わずかな補正で済んでいますが、音の変化は感じられますか。
村田先生,田中さん,こんばんは。大型台風8号が接近していますね。大きな被害が出ないといいのですが・・・補正前,補正後のf特は,補正用の逆フィルタを作り出すために測定した場所(SP前面70cmのところ)と同じ所にマイクをおいて測定したもので,この時点ではPEQによる低域の定在波補正はしておりません。この測定位置とリスニングポジション(2m強)とでは定在波の影響の出方がかなり違いますので,最後のルーム補正の時点でPEQにより補正しています。これも結構効果がわかります。HDP-4には4つの異なるプロファイルを設定できます。現在,私のHDP-4では,1つのプロファイルに補正なしで単なるチャンデバのみを設定しています。残りの3つのプロファイルには異なるクロスオーバー周波数や,リスニングポジションでPEQによる補正ありなし等を比較のために設定しています。これらのうちで最も違いがわかりやすいのは,補正なしと補正ありの場合の比較です。特に拍手やヴォーカルなどでは違いが明瞭に出ます。あと,各ユニット間の前後の位置も自動的に補正(ディレイによる調整のようです)してくれます。これはマニュアルでも設定できますが,うっかりミッドなどに左右異なるディレイをかけると,例え1ms以下の差でも違いは明確にわかります(経験済み)ので要注意です。
田中さんへ,当方のわかる範囲でお答えします。> オーディオの基本として、先ずはフラットネス化ですよね、それから好みでバイアスを掛けるのですがまったく同感です。私の場合,聴感だけで調整することは極めて困難で,時間の浪費になってしまいます。マイクを使った測定は,自分の目指す(妥協できる?)再生音を得るための近道だと思っています。そのためにもリファレンスとなり得るf特のフラットネス化は必要です。> 補正用の逆フィルタを作る時、スムージングのレベル調整は、オクターブ単位で、選択可能でしょうか?スムージングのレベル調整はできますが,全周波数範囲にわたるため,その周波数範囲を指定することはできません。> 又、補正後の基準レベルと、その対象範囲(ゲインと周波数範囲)は、指定できるのでしょうか?周波数とゲインの補正範囲は指定できます。また,シングルアンプ方式,マルチアンプ方式,共に補正した後のゲイン調整は左右毎,低中高毎にコントロールパネルで自由に設定でき,各プロファイル毎にその設定を記憶できます。他にもいろいろと細かい設定や調整ができるようですが,まだ十分にその能力を使いこなしてはいません。クリズラボのホームページにいろいろな情報もでていますので参考にして下さい。田中さんがお使いのARC System 2 もかなり高度な設定ができそうですね。私の場合,マルチアンプ方式が前提でしたので,自由度の高いチャンデバ機能は必須でした。
鍋島さん、皆さん、こんにちは。>最後のルーム補正の時点でPEQにより補正しています。一点のデータでの補正か、数点のデータでの補正でしょうか。この補正で、通常の聴く場所でのf特はどうなったかをお教えください。それと、他の測定ソフト、例えばMySpeakerでの測定結果と比較されたことはございませんか。もし、あれば、よろしく願いします。SR-SOUNDのピンクノイズと1/3オクターブ分析器と手動1/3GEで設定した音と、DEQ2496で自動設定した音が違うようですので、MySpeakerでやってみようかと思っています。
いよいよ台風が近づいてきました。熊本は明日大荒れになりそうですね。明日から東京へ出張の予定ですが,既に予約したフライトは欠航と連絡が来ています。困ったもんです。さて> 一点のデータでの補正か、数点のデータでの補正でしょうか。ですが,DEQXでは一点でのデータで補正することになります。マイクの位置を何カ所かに動かしてf特を比較したことはありませんが,一度やってみたいですね。1kHz以上はかなり変化がみられるかもしれませんね。他の機器やソフトでf特を測定し,比較したことはまだありません。どうなんでしょうね。マイクが同じで,測定位置も同じであれば,結果は同じになると思うのですが。
鍋島さん、皆さん、こんにちは。>DEQXでは一点でのデータで補正することになります。一点での補正ですね。>マイクの位置を何カ所かに動かしてf特を比較したことはありませんが,>一度やってみたいですね。1kHz以上はかなり変化がみられるかもしれま>せんね。場所によるf特の変化を測定した結果はAudioBBS(志賀さん)に載せてあります。低域では定在波の、高域ではスピーカの指向特性の影響が出てくるようです。>マイクが同じで,測定位置も同じであれば,結果は同じになると思うのでが。設定用のマイクが違うし、設定方法も違うので、私の耳では違うようです。2つの設定の違いをMySpeakerで測定したいと思います。PCのマイク入力の増幅度が小さいのでACミリボルト形をマイクアンプにしようと思っています。では。
皆さん、こんにちは。DEQ2496とFBQ3102(両機ともベーリンガーの1/3オクターブ・グライコ)で実験しました。結果は両方ともMySpeakerとECM8000(Mic)の測定系で測定しました。@DEC2496の自動補正とAFBQ3102+測定系+手動設定でかなり正確に設定したものを比較しました。ほぼ同じになりました。手動設定はかなり手間をかけてやったのに・・・感心するくらい、自動補正は上手くやっていますね。昔から使用しているSR-SOUNDの1/3オクターブ・グライコでは3dB/step表示で手動で設定していましたので、この2つの結果よりf特のうねりが大きくなっています。音の違いは、このあたりの影響かもしれません。1dB/step表示で正確に追い込めば同じくらいになると思いますが、折角、正確に設定できた値を変えたくないので、やっていません。では。
田中さん、皆さん、こんばんは。>DEQ2496で周波数特性をDEQXに合わせて、f特が近似になったとしても、>残念ながら音は、近似にならないと思います。2種類の機器で平坦に調整したら、同じ測定系でほぼ同じになったという実験です。自動平坦化もかなりいい線を行っているなあと。なお、DEQXに合わせたわけでもありません。持っていませんので。平坦が良い、とか位相特性の影響とか、個人の趣味にはなるべく立ち入らないようにしています。
皆さん,こんにちは。オーディオ好きの我々にとって,再生される楽音(音)は大いに関心があるところです。特に「比較」となった場合には,それぞれ好み,感性,音に関する記憶力といったものが大きく比較結果に反映されますので,その評価は往々にして客観性に乏しくなることも避けられませんね。私の場合,比較して違いが感じられるかどうかは大いに関心がありますが,残念ながら貧しい感性と記憶力のため,小さな変化は瞬時比較でないと聴き分けることができません。その点,頭を固定した状態でリモコンを使って瞬時切り替えができる装置は結構楽しめます。これまでの経験から,音圧のf特にある程度以上の違いがある場合には,その違いは聴き取れることがありましたが,位相の連続的な変化(音圧f特は変わらずに)についてはまだ経験がありません。マルチアンプの場合,フィルタの特性でクロスオーバー周波数付近で位相も変化しますが,多くの場合,位相をいじると合成された音圧も変化しますので厳密な比較は非常に難しいと思います。村田先生が試された2機種によるf特の平坦化,自動補正での結果と手動設定での補正結果を聴き比べてみたいですね。切り替えが瞬時にできれば自分なりの評価はできそうですが,これを実現するのは難しいのでしょうね。
皆さん、こんにちは。>切り替えが瞬時にできれば自分なりの評価はできそうですが,>これを実現するのは難しいのでしょうね。 現在はプリ=>DEQ2496=>FBQ3102=>パワーと直列にしていますので切替には時間がかかります。DEQ2496からFBQ3102には、DEQ2496のバイパスをしてFBQ3102を有効にするため数秒かかってしまいます。これで試聴してみます。プリの出力からDEQ2496とFBQ3102に2分してパワー入力にセレクターを入れれば、ほぼ瞬時切換ができるのですが、セレクターが手元にありません。残念!では。
皆さん、こんにちは。最初、DEQ2496を左にFBQ3102を右に分けて使用して違いを確認しようとしましたが、うまく行きませんでした。DEQ2496はオールパスした時と各要素を通した時(各要素を不使用でも)の位相が逆のようです。そこでDEQ2496の右のDEQをOFF、左のDEQをONとし、FBQの右をON、左をOFFとして試しました。このような設定で、4種類の組み合わせを試しましたが違いは?でした。私の耳ですから、案の定と言ったところでしょう。2機種の各周波数毎の設定値は大分違っていますが、全体で結果はほぼ等しいのでしょうね。位相に関するの試聴実験はCyberWorkShop(現在は更新されていませんが)にあります。左右の一方だけの位相を変えても別に不自然さは感じられないと言うことでした。ここのHPは面白いですよ。まあ、変な記事もありますが。では。