6V6高帰還ハイブリッドアンプ

 次回お寺アンプ課題の6V6アンプに対する第1弾は、フリースタイルのSATRIドライブ高帰還アンプ。
概略回路図とボーデ線図は図のようになっている。SATRIと書いてあるブロックはトランスイピーダンスアンプでSATRIドライブ回路(DCサーボ付き)。
 C1〜C3、R3が帰還回路で無帰還の場合が右図のボーデ線図のNFなしのゲイン。これにC2(C1は補正)によるPG帰還を掛けるとPG帰還のみのゲイン線図になる。これにR3(C3は補正)のオーバーオール帰還を掛けたものが最終ゲインで中低域では約39dBの高帰還となっている。
 帰還アンプのポイントは最終ゲインのクローズドカットオフ周波数(この場合は約50KHz)あたりで、この時に位相余裕が充分である必要が有る。そのためには帰還前のスロープが−6dB/oct(つまり位相回転が−90度)になっていることが必要で、このためにPG帰還をかけている。実際はトランスの位相回転がそれにプラスされるので、現在の位相余裕は60度ぐらい、ゲイン余裕は12dB程度であるが、負荷に0.22μFをつけても若干のオーバーシュートが見られるだけと至極安定な動作をしている。
 この回路これだけNFBを掛ければ特性は良いはずだが、見ると解るとおり高域10kHzあたりでは2次側からのNFはほとんど掛かって無いのが欠点。通常は終段の球の歪が大きいのでPG帰還による改善を期待できるのだが、今回はどうもドライブ回路の歪が大きかったようで10KHzの歪特性が良くない。まあこの辺は何事も一朝には行かず少しずつ改善していくつもり。

諸特性は特性がダンピングファクターは約20、周波数特性は−3dBで50kHzまで伸びその上は−12dB/octぐらいで急降下。200KHzあたりでトランスの暴れが2dBぐらい有るが非常に率直で、矩形波は右図にあるようにリンギングも無く綺麗。10KHzの矩形波がここまで通るのは球アンプは少ない。