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手作りアンプの会夏休みコンサート 報告

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徹夜明けのメンバー


総評

 恒例の夏のアンプ大会が8月26日、世田谷の妙法寺で行われました。今回は23人の参加者、持ち込まれたアンプ約40台で行われました。参加された皆さん本当にお疲れ様でした。
 今回はEL34がテーマでした。私たちの会で行うこの手のアンプ大会ではオーディオ管は初めてでした。いつもは名もない駄球を使うのが常ですが、今回はオーディオ管も見直そうとの事でEL34が選ばれました。他に、小型MT管の部とそれ以外の外道の部も開催されました。
 今回の特色は完成度の高いアンプが多かった事です。音も粒ぞろいで、変な音を出したり、煙を噴いたりするアンプは一台もありませんでした。また、外道の部などには非常に大掛かりなアンプが多数出品されました。また、構成的にも難しい回路が幾つも出展されています。過去に例の無い構成も幾つかありました。
 前回までは超3が大半を占めていたのですが、今回から新しい試みのアンプが徐々ですが増えてきています。実験の成果を評価してもらう為の場としても機能していると思います。今後の発展が楽しみです。

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審査の様子。100畳敷きの部屋を使います。


お寺参加記

初参加の智樹君から感想を頂きました。

皆さん、こんにちは。今回初めてお寺コンサートに参加させていただいた田中智樹です。事務局の田村さんから「書け」との指令を受けたので今回のコンサートの感想を書かせていただきます。

まぁ、とりあえずコンサートの率直な感想を書かせていただきますと濃いこの一言につきますなぁ。

コンサート当日、午後5時開始とホームページに書いてあったのを読んで小田急線で成城学園前駅まで行き、ホームページの地図の記憶を頼り(爆)に歩く歩く歩く。途中電信柱に「妙法寺」の名が。その矢印どおりにてくてくと歩いて行ったが、途中であれっ?お寺がない。ってな感じで道に迷ってしまいました。連絡先はメモってなかったし、開始時間は迫ってくるしでパニクッていた矢先ようやく道が分かり何とか5時頃に妙法寺にたどり着きました。

多目的ホールに入っていくと7人くらい?のおぢさんたちがごそごそと会場の準備を。良かった、間に合ったと安心しつつも何だか不思議な気分。玄関に立ちつくしていると「そこの名簿と名札に名前を書いて」との声が。名前を書いて名札を付けてしばし立ちつくしていると宇多さんから「おまえがともきか!!」との歓迎の声。正直とってもほっとしました。

時間と共に出品作品が集まってきて、早速雑談開始です。皆さん、いろいろな工夫をなさっていて外観を見るだけでもとっても参考になりました。

7時になってようやく視聴開始。まずは小型アンプ部門からでした。
私、今まで試聴会の類には参加したことが無かったですし、小型アンプは1度も作ったことが無いのでアンプの音についてはうまくコメントできないのですが、とりあえず、こんなちっちゃなアンプで大きなしかも立派な音が鳴るなぁって感じでした。大きな音はひとえにスピーカ(アルテックのA7)の能率のたまものですが、スピーカを立派な音で鳴らすのはアンプの力ですよね。みんながみんな至って普通のいい音でびっくりしました。周りの人曰く、「今回はハイレベルだなぁ」だそうです。

引き続き行われたのがEL34の部。みなさん、「お腹が減った」と漏らしながらのスタートです。
今回参加して一番の収穫がこの部門でした。同じ出力管で、同じ回路(超3結)でもこんなにも音が違うのかっていうのを体験できました。正直ここまで音が変わるとは思っていませんでした。1人でアンプを作っていたのではなかなか体験できない経験でしたね。

EL34の部が終わってついに待ちに待ったお食事の時間です。
みんなでテーブルを中央に集め、食事を運んで、ピールで乾杯でした。あっ、お酒を飲んでない方もいらっしゃいましたけどね。お腹がぺこぺこだったこともありたっぷりと食べさせてもらいました。鯛がでてきたり、エビチリが出てきたりと豪華でしたよ。いろいろな雑談をしながらの食事、とっても楽しかったです。お酒が入ったことで皆さんのテンションも高まってとってもいい感じでした。

そんな中で始まった「外道の部」。今回もっともエントリーの多かった部門でございます。
始まるときに「酔って音が分からない」との声があったが、「だから良いのでしょう」とつっこみが入る、流石です。この部門、とっても楽しませていただきました。何てったっていろいろな形式のアンプが出展されていましたからね。

外道の部は0時くらいに終わってそれから朝まで自由時間。音を出したい人は音を出して雑談したい人は雑談して寝たい人は寝てました。そうそう、確かフィリップスのICアンプ大会が開かれてましたね。それと、アンプの臓物(内部配線)大公開もやってましたよ。
私はほとんど雑談を聞いていました。雑談のネタはアンプの事ばかりだろうと思っている方もいらっしゃるでしょうが、実際はそんなことなくて、楽器のことや、音楽のこと、車のことなどなどいろんな話を楽しく聞かせていただきました。特にパイプオルガンの事や車の話が印象に残ってますね。

そんな感じで朝を迎えて、朝の6時くらいにいよいよクライマックス?毎回恒例というカレータイムです。私にはちょっと辛かったですが、なかなかおいしかったですよ。

そのあと、用事があったために6:30に私1人早引きさせていただいて私のコンサートは終了しました。

そうそう、途中、ラジ技ライターの武宮先生のフェルトバッフル&電流アンプのデモと不要品のオークションが有りましたね。
電流アンプなる物を初めて聞いたのですが、何だか至って普通の音でした。一般的なダンピングファクター不足の音とは全く異質の音です。正直言って不思議です。何でなんでしょうね。謎々謎です。

手作り真空管アンプの会の皆さんとは今までメールでしかコンタクトしたことがなかったのですが、実際に会ってみてほんとに良かったって思います。本当に皆さんいい人達で、とっても良い刺激を受けました。次回は是非自分の作品を出品したいと思いました。これを読んでいる皆さんも参加しませんか?絶対に面白いですよ。

最後にコンサートの運営に当たっていただいた事務局の方々、場所を提供していただいた小林住職、ゲスト出演してくださった武宮先生、本当にありがとうございました。


小型MT管の部

 小型MT管の部には6台のアンプがエントリーし出来栄えを競いました。どれも素晴らしい出来で大きな違いは出ないだろうとの予測通り、回収した採点表を見てもほとんど同じ点数を付けている人がほとんどでした。得点の合計の結果以下の2台が今回の一等二等に選ばれました。


一等賞  山田さん 6BM8 2万円 超3アンプ

二等賞  宇多さん 30A5パラ超3アンプ

以下エントリーされた方とアンプの構成、皆さんから頂いたコメントを上げます。

No

製作者

アンプ構成

コメント

江口さん

6BM8 GG

クリアー、ハイスピード、バランスが良い、良くまとまっている

小川さん

5763 STC

前に良く出てくる、アタックがコンパクト、音が生々しい

宇多さん

30A5 STC

淡々と鳴っている、超3バンザイ、流石仙人

田中さん

6BM8 PP

A7が良く鳴った、懐かしい音、やった田中イズム爆発

田村

12HG7 単段

何だまともじゃないか、予想外に普通の音、発展途上

山田さん

6BM8 STC

躍動感がある、ピアノ立ち上がり良し、シャーシはトタンか?

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MT管の部出場アンプ


EL34の部

 9台のエントリーがありました。今回は本当に何の波乱もなく、皆さん非常に完成度の高いアンプを出展されています。あまりに真ともで粒ぞろいな為スタッフの一部から「つまらない」の声が上がったほどです。やはりオーディオ管は簡単すぎたのでしょうか。接戦でしたが集計の結果以下の4台が選ばれました。

一等賞  小川さん 全段差動PP

二等賞  江口さん カソフロ出力パラシングル

二等賞  城山さん 超3Vor.1

特別賞  藤波さん 超3Vor.3

以下エントリーされた方とアンプの構成、皆さんから頂いたコメントを上げます。

No.

製作者

アンプ構成

コメント

戸張さん

DNFB

良い音だが自由曲が暗い、響くような低域、HOLY!SEXY!、

宇多さん

STC

中高音 正に超3、EL34の特色が良く出た、色気あり、エロチック

小川さん

全段差動

静か、良くまとまっている、ボーカルが前に出る、cool!

田村

強NF

バランス良し、ユーミン若返った感じ、固めの音

藤波さん

STC V3

分解能が良い、癖がない、品がある

山田さん

STC

スピード感が良い、本当に超3か?中にIC入っている?

江口さん

カソフロ

パワーあり、完成度高い、アタックが凄い、締った音

高橋さん

STC

品良し、ピアノ良し、松下のEL34の音?これぞ南部

城山さん

STC

静か、バランスが良い、馬力あれども荒れていない、明るい


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EL34の部出場アンプの一部


外道の部

 外道の部は最も個性的なアンプ集まります。開始前から期待は高まり、開始の宣言の時に歓声が上がるほどです。外道の部は夕食の後と言う事もあり、少しアルコールも入って本調子となってきました。(だいぶ酔った人もいました)外道の部に集まったアンプは本当に力作ばかりで甲乙つけがたいのですが、集計の結果以下の2つのアンプを一等賞としました。

一等賞  川口さん 814超3

一等賞  戸張さん 6080BTL

以下エントリーされた方とアンプの構成、皆さんから頂いたコメントを上げます。

No.

製作者

アンプ構成

コメント

田中さん

タマリントン

歯切れの良い音、凄くまともな音、金属的?

宇多さん

6BQ5STC

コクがある、宇多サウンドだ!いいぞ超3!立ち上がり良好

山田さん

1619STC

張りのある音、低域にエネルギー、流石!!、熱い

川口さん

814STC

雄大、燈明、トリタンの雰囲気良し、明るいだけではない!

荒木さん

6550S

強力、底力、M8ドライブ良、重量感

牧原さん

7189PP

聴かせる、パワフル、ワイドレンジ、破綻なし

戸張さん

6080BTL

超強力、ボリューム上げるの恐い、正確でソフト、迫力

河口さん

6384STC

超3らしいが分厚い、良く練られている、素晴らしいバランス

小川さん

TR−STC

音奇麗、トラ猫たいこばん、軽やか、Good

10

江口さん

6080GG

これは良い音だわ、作り凝ってます、GGの音好きみたい

11

高橋さん

フィリップスIC

さすがPHILPS、鹿沼イズムだ!!

12

上野さん

EL34V3

何気なく良い音、高音質、ゲイン低い

13

荒木さん

トラ4石

ソフト、古いアンプだけどまとも、ハム残念

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川口さんトリタン超3と戸張さん6080BTL、共に大迫力

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江口さん6080カソフロ出力と小川さんトラサンアンプ(TR超3)

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山田さん1619と荒木さんの26年前のTRアンプ

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宇多さんと河口さんのユニバーサルアンプ


特別ゲスト公演

武宮老師によるフエルトバッフルSPと電流アンプのデモ

 手作りアンプの会の名誉会員であります武宮先生が特別ゲストとして、フエルトバッフルと電流アンプのデモンストレーションがありました。電流アンプは何度か聞いていますが、いつもその鳴り方に驚かされます。P610が吃驚するほど鮮明に鳴ります。立ち上がりの鋭さは真空管アンプでは真似のできない所でしょうか。

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高周波の配線がされたアンプとフエルトバッフル

 しかしながら、音の出方は超3を初めとするその手のアンプに共通した物があります。全く正反対の筈ですが似ているのは不思議です。私の12HG7単段シングル(目指せ電流アンプ)を同じ条件で鳴らして試ましたが、雲泥の差でした。結構きついと言われた私のアンプですが、このアンプから比べると只のアンプでした。やっぱり電流アンプおそるべしです。どこかで聞く機会があれば是非聞いて下さい。別の世界を垣間見る事でしょう。


その他いろいろ

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 途中オークションが開かれました。集まったお金は、会の運営資金の一部とさせていただきました。不要なパーツを提供して下さいました皆さん、ありがとうございます。オークションは好評だったので、今後三土会などでも開催したいと考えています。要らない部品があれば三土会でオークションに出して下さい。きっと有功活用されるはずです。

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 全てのプログラム終了後は自由時間で音を出したい人が自由に音出ししていい時間です。写真は大体午前2時頃かと思われます。アンプ談義と、実験と、いろいろやっています。

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 最近、流行しているICアンプ。熱狂的なファンもいます。(約3名?)これが電源などで微妙に違うから不思議? 簡単に作れてあっさりと歪み無しの10Wが選られます。私はリファレンスとして作られたら、と思っています。1個600円、外付け部品わずかで済みます。

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 次から次へと朝までとっかえ、ひっかえ、音が途切れる事はありませんでした。皆さんタフですね。尚、入賞された方おめでとうございます。賞品は何もありません。もし、必要ならトロフィー等を考えましょうか?


 最後に、いつも会場を提供して下さっています妙法寺の小林住職、どうもいろいろとお世話になりました。朝のカレー美味しかったです。次回も宜しくお願いします。


以上、2K/9/4 田村でした