佐武さん こんにちわ 超三結 V1 の初段〜帰還段に 6U8A/6EA8/6GH8A などの 9AE 口金接続 (Basing diagram) 三極五極管を使った場合に固有のトラブルのようです。 これを高周波関係では「飛びつき発振」と言っています。 帰還段に独立三極管を宛てた 6EJ7-12AX7-6550 構成の超三結 V1 等では容易に発振せず、下記のように原因を特定しました。● 超三結 V1 回路では、出力管 P〜三極部 P が接続されています。 ● 9AE 口金接続では三極部 P が初段 G1 とは隣のピン、ソケットも加わり微少容量をもちます。● 信号的には出力管 P〜三極部 P および初段 G1 は同位相、微少容量にて結合し正帰還します。● プッシュプル回路でも p-k 分割位相反転で発振、ピン配置の改良版が 6AN8 だそうです。 対策その他です。(1) G1 インピ低下: 9AE 口金接続では三極部 P 〜初段 G1 は隔離できません。 そこで入力調整用 VR 値の減小、C 並列接地等による G1 のインピ低下にて結合を減らすも、入力仕様および高音低下の限界があります。 (2) 隔離:三極部を別の球にすれば初段 G1 から隔離されて結合が減り発振がとまります。 初段の NPN Tr 化にても隔離の効果が得られるも、バイアス付与および安定化などの C/R 等を要します。(3) 初段ゲイン:発振には初段ゲインも関係します。 ただし試作例によれば 6CB6/6AH6/6EJ7 などの独立 high GM 五極管初段では三極部が別の球であり、容易に発振しませんでした。 (4) 終段関連:発振には終段出力管も関係し G1(〜500ohm) および P(〜20ohm) の R 直列挿入またはフェライト・ビーズ通貫の発振止めも有効ですが、上記 (2) ほどの効果はありません。もし、何かありましたらどうぞご質問ください。
宇田さん 詳しい対策の説明を頂き有難うございます。9AEの口金接続では、Pg1とTpに容量結合で大振幅の出力管のPに同位相で結合し、しかも5極部のゲインが高く過ぎて、正帰還で発振するということですので、6GH8Aについては改善策も成功の見込みが低そうですね。と言うことは、容量結合の小さい場合にはトライする価値があるということだと理解しました。TUNG-SOLのデータシートで見たところ、口金接続9DXの6JV8は、Pg1とTpの間の容量結合が0.012pFと極めて小さく(御紹介いただいた6AN8のPg1とTpの結合容量は0.02pFより小さい) 、おまけに、1本$3で安いのです。使える可能性はあるでしょうか? それとも、複合管では、やっぱり難しいのでしょうか?私のシャーシーは穴あけが大変なので、複合管を用いるか、初段をTrにするかの二者択一を考えています。
その一群の球を実験しておらず、的確なお答えができずに残念です。6JV8 なら良さそうです。 ついでに同じ 9DX の 6AW8/-A を、古い全日本真空管マニュアルで参照したらシールドなしにて 0.006pF とあり、さらに少なくなっています。実験してみましょう。 素晴らしいヒントを戴き、ありがとうございました。
早速 6U8A の五極部と 12AX7/2 を使った超三結アンプを 6AW8A に配線変更し挿し換えると、発振は全くなしに無事に運転を再開しました。 次に日本産類似球の 6R-HP3 に挿し換えると(動作点調整位置は変りますが)同様にうまく活きました。 これらの結果から 6JV8 でも問題なく動作するでしょう。