高級なステレオ・システムには必ず外付けプリアンプが組み合わされます。 最近では余り見ない一体化したプリメインアンプにもプリアンプ部分が組み込まれています。 大抵のプリアンプは下記を備えています。
(1) アナログ・レコードを再生するに必要なイコライザーアンプを収容。
(2) 色々なソースを切り替えるセレクタースイッチを装備。
(3) ソースやスピーカに対してF特を調整するトーンコントロール(TC) を装備。
(4) 小音量の場合、低音と高音を持ち上げるラウドネス・コントロール (LC) を装備。
(5) メインアンプへの入力信号を調整するマスターヴォリュームを装備。
以前使用していたプリメインアンプには、裏パネルに「プリ出力」と「メイン入力」のピンジャックがあり、金属棒を曲げたもので固定接続してありました。 それを抜いて CD プレーヤ/ FM チューナを「メイン入力」に直接接続すると、全く違う音の世界を垣間見ることができたのです。
但し、音量調整は個々の機器に付いている可変出力を使うしかありません。 またアナログ・レコードの再生には「プリ出力」が必要です。 そこで、セレクタの先の TC と LC をスキップして、イコライザとセレクタ・スイッチとマスターヴォリュームだけで構成するよう改造し、以後 20年、この基本スタイルにて鮮度を楽しんでいます。
TC を on/off できるプリアンプ製品が出た時には内心「マネしたな!」と思いました。 TC のない L/R 独立のヴォリュームで制御するプリアンプには同じことを考える設計者がいるのだなと思いました。 CD direct スイッチの付いたプリメインを店先で見て、嬉しさのあまり衝動買いし、担いで家に帰り早速その効果を耳で確かめました。
TC がないと不便と思われるかもしれませんが、TC が欲しくなるようなソースは聴かないし、夜は低音公害を考慮して LC は使いません。 昔の「蓄音機」にはヴォリュームすらなかった筈で、これでも大進歩です。
その後、自作アンプが増え、スピーカも増え、CD プレーヤまたは FM チューナを直接メインアンプに接続するようになり、音量調整はメインアンプのレベル調整で済ませました。 しまいに CD 専用システム、FM 専用システム・・・とソース毎に独立してしまいました。
ソース側に可変出力のない場合のレベル調整には、本当はチャンとしたアッテネータを使うべきでしょうが、最近の機器は出力インピーダンスが低いので、入力ケーブルが 1m 程度なら良質の 5〜10KΩの A 型ヴォリュームでも性能的には問題ないと教えていただき、そのようにしています。
この方式では電話が掛かって来たときのミュートとか、クセの強いスピーカに対応するには不便ですが、ヴォリュームだけの操作で済み、鮮度が保てます。
ただしソースを選択したあと、メインアンプまで延々と数十m もソース信号を引き回す場合には、ライン送り出しアンプとそれに見合うケーブル設備が必要となります。
でも、一般家庭環境では、そのような必要は殆どないでしょう。
1999/09/07 宇多