辛口の自作アンプ考 その2

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アンプを自作しよう

 最初はキットの製作からアンプ自作に入る方と、最初からオリジナルでアンプ自作を開始する方とが居られるでしょう。

 キットは、部品と実体配線図付きの組み立て説明書が完備しており、その指示とおりに取りつけ配線すれば完成します。(そうでないものは、部品がそろっているメリットを生かす経験者向きの素材です。)
 しかし、キットを一台作って製作技術をマスターできるでしょうか?、全ての要素の働きをどれだけ理解できるでしょうか。 自分で回路を設計できるようになれるでしょうか。
 キットの組み立てはオリジナル自作のキッカケとはなりますが、そこに到るには、回路設計、配置設計などの勉強が必要になります。 これに挑戦するか否かが、次のステップに進むか進まないかの第一の別れ道です。

発展とヒラメキへの対応

 次に進む場合、別の球を使って見たくなります。 そこでいろいろ事前に調べます。 その別の球を使っているキットがあれば購入するか、なければ類似のキットを購入して改造するか、前に作ったアンプを改造するか、新規にオリジナルを自作するか、諦めるかのどれかです。 諦めたらそこで「振出に戻る」です。
 オリジナルを自作する場合、突き当たるのは部品の調達とシャーシ工作です。 地方にお住まいの方には通販しか手段がないので部品の調達には大変ご苦労なさっておられることと推察されますが、シャーシ工作ならば、何とか近くの町のDIY ストアで工具と材料は入手できるでしょう。
 ここからが、第二の大きな別れ道です。 発展欲求や実験テーマがヒラメいたとしても、キット購入・改造では、出費も時間も要します。 既存アンプを改造するか、実験用シャーシのストックがありそれを利用するか、急遽実験用シャーシを自作するかです。 要は簡単な板金工作ができ部品の適当なストックがあれば、直ちに次の試作実験に掛かれ、その頻度と回数が決まります。

アンプ製作技術の体得機会

 オリジナルの設計・製作では、発振とかハム等の雑音や障害に見舞われる可能性が十分あります。しかも、トラブッた場合は自分で始末しなければなりません。 そこで設計技術と障害対策技術が体得され向上します。
 実験単価の低減は重要です。 すなわち、実験用シャーシ、球、部品、キット等を骨までしゃぶる再利用によって実験単価は低減されます。 実験単価が少なければ、試作実験の頻度と回数が飛躍的に増加し、種々の球や回路方式によるオリジナルに挑戦でき、アンプ製作技術は飛躍的に向上します。
 完成機は外観が悪くても機能すれば十分です。 気に入らなければ組み直します。 組み直すと却って悪くなる場合もありますが、それも教材の一種です。 アンプの外観を重視するのは結構なことですが、それが実験の種類と回数を圧迫するなら製作技術獲得の観点からは本末転倒です。
 もし上記の逆をやれば・・・言うまでもなく、何時まで経っても、何回やっても、大して変わりがありません。
 但しキットの利用は、急遽製造を迫られた場合には部品収集調達やシャーシ工作の時間がなくても対応でき、外観もよく大変便利です。 また素材として大いに利用し、自分の責任において思うままに改造を繰り返して楽しみましょう。

1999/07/25 宇多

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