球の雑食を楽しみ、アンプの寿命を伸ばそう
トップに戻る 過去のコラムを見る
真空管、特に出力管は使用すれば消耗します。 性能低下の早いもの、遅いもの違いはあるものの、いくら大事に使っても長期的には性能低下は免れません。 ステージ用などは例外として、通常の用法にて規格オーバーにて使用するのは、故意に寿命を縮める「球殺し」行為に相当し、感心しません。
ギターアンプ用など、コンスタントに作られ供給さている球はともかくとして、新しく開発される球は極めて少ないし、引き続き生産されて市場で入手できる球の種類も段々減ってくることでしょう。 そうなると、現在使っているアンプに使用している球のスペアを沢山買い込むか、使い果たしたら類似球に挿し換えるしかありませんが、類似球も入手できなくなければ、そのアンプはそれまでとなってしまいます。
私がこれまで狂気のようになって、色々な球について「とにかく動作させ」ようとしてきた背景には、特定の球を使っているアンプが「それまで」にならないための方策として、「どのような球でも動かしてしまう」ための環境整備が必要である、との考えがあったからです。
その気になって動作させれば、大抵の球は実用的に困らない範囲で動作してくれます。 その意味から、特定のオーディオ管とか送信管にしがみつく必然性は全くありません。 またとっくの昔に姿を消した球式のテレビに使われた球には優れたものが多数あります。 特にポピュラーではない映像増幅管と水平偏向出力管の一部は、まだ安く手にはいります。
残っている球をうまく利用することで、いくらでも球アンプの寿命を伸ばすことができることを意識しながら、球アンプを長く愛用したいものです。 そのためには、「球の雑食」に対して抵抗感を取り除き、積極的に「料理法」を開発して、楽しむ余地があると考えています。
2000/10/4 宇多 弘
(ご批判・ご指摘・ご助言等はこちらへ)