針小棒大

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部品で音が変わるのは本当です。とにかく、何をやっても変わります。最近強力なNFを使うようになって多少この傾向は薄らいだと思いますが、部品による音質の変化を無くすことはできない様です。(修行が足らない為か)ところが回路による音の変化は劇的な物があります。私は時定数による変化を少なくする為コンデンサを使用する場所には常識外れの大きな容量を使用しています。そうした上で、SDとかNLRを試すと劇的な変化を聞くことができます。(駄目元で試そう)

簡単なことなのですが、少しの変化の部分で最適化を追求するのと、劇的な変化の部分で最適化を追求するのでは、後者の方に明らかに武があります。例えば、古典回路を愛用されている方の話で、「電源のコンデンサを小さくしなさい」と言うのがあります。理由を聞くと大きなコンデンサは放電が遅いからとの事です。スイッチング電源を設計している人に聞くと「そんなことは無い、あってもほんのわずかで普通の測定機では計測できないレベル」との答えです。この様な場合、素直に考えれば回路に何か隠れていると考える方が自然と思います。更に、コンデンサを大きくして結果が劇的に悪いのであれば、(事実古典回路では悪い)そこには劇的に良くする方向も含まれているとの考えも思い浮かびます。このような例はたくさんあると思います。不思議と理屈で考えると小さい変化しかもたらさない物を原因としてクローズアップする傾向があるように思います。何故その様になってしまったのでしょうか。

歪み率と連続矩形波の測定はずいぶん長いこと行なわれつづけています。発表されているアンプの多くは似たような特性のグラフが付いています。基本的な特性ですからあっても良いのですが、何年もそれだけと言うのは余りに芸が無いと思いませんか。それ以外のデータは多分取られていないし、何をとったら良いか検討もなされていないのでしょう。

きっと皆飽きてしまい、小さな事を虫眼鏡で拡大して、原因はこれと言っているのでしょう。

1999/11/16 田村

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