−ある日ある部品屋での会話−
たむら−「酸金で良いのだけれど、8Ωで20Wになるように抵抗下さい。」
おやじ−「セメントじゃあいけないの?」
たむら−「純抵抗にしたいから、セメントはLを持つでしょう。」
おやじ−「田村さん、セメント、測ったことある?」
たむら−「テスターで?」
おやじ−「そうじやなくて、セメントの50オームをダミーロードにして50MHzでSWR1.2以下だよ。知ってる?」
たむら−「えーー!そうなんですか。!!」
....
私のセメント抵抗は良くないという常識は崩壊した。「Lがあるからうんぬん」という適当な話を鵜呑みにしていた。以後、私のアンプは変わった。セメントを平気で使うようになった。
よく聞くと音は無誘導抵抗と比べほとんど変わらないし、どちらが良いかもわからない。コストを考えれば俄然セメントの勝ちである。確かに部品で音は変わる。信じられないくらい極端に変わることもある。よく考えると変な話である。確かに50Ωのセメント抵抗は純抵抗ではない。しかし、その差は可聴帯域においては微々たるものである。いろいろな解説を聞いたことがある。それが聞き分けられるほど人間は優秀と言うが本当だろうか。それとも、根本が間違っていて、ちょっとしたことで不安定になる要因を回路が持っているのか。われわれが知らない未知のパラメータが大きく変化するのか。しかし、抵抗の本来の目的において何ら問題が無いのは明白である。
ちなみに、電解コンデンサでもおやじと似た話をしたことがある。恥ずかしいかぎりである。
1999/06/01
田村
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