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Transcendent Sound OTLアンプの回路 私ならこうする。

Transcendent Sound OTLアンプは以前から興味があったものの、具体的な回路については知りませんでしたが、ラジオ技術2000年7月号に下図の回路が紹介されましたので、私なりの解釈で感想を述べたいと思います。

回路の概要

出力管のEL509はスクリーングリッドをプレートに接続した3極管接続でパラレル使用し、特徴は出力管をカソードフォロワでドライブしている点で、これは同社の特許になっています。

解る人は気付くと思いますが、この回路に一か所間違いがあります。
間違いでないとしたら出力段の上下でゲイン差を生じますが、R13の一端をアースではなく出力に接続する周到さから察するにそれはないと思います。
正しくはR6が+480Vに接続されているのを外して、V3Aのプレートに接続するべきです。

V3Aのカソード電流とツェナーダイオードZ1〜Z3の電流が出力に加わっているため、下側の出力管に相当の電流が流れ、出力管の上側と下側で動作点の違いを生じます。
また+550V電源の変動がR11とZ1〜Z3を介して出力に加わるので、+550V電源はアースに対して充分に安定でなければなりません。

私ならこうする

カソードフォロワ・ドライブ段と出力管がコンデンサーでAC結合となっているため、Z1〜Z3をコンデンサーに置き換えても差し支えないと思われます。
また、R12 R13を定電流回路に変更すれば、定電流回路は出力に接続する必要がなくアースに落とせるため、出力に加わる電流がなくなって出力管の上側と下側の動作点が揃います。

そもそもこのアンプがカソードフォロワ・ドライブを必要とする理由は、出力段が3極管接続であるためのミラー効果対策と考えられますが、そうであるならば、出力段をミラー効果の少ない5極管接続にした方が、効率よく出力が取れるし、電源変動にも強くなります。
カソードフォロワ・ドライブ管は出力管のスクリーングリッド電圧を安定化する回路に再利用する算段です。

2000/6/28