Evolve power amplifiers 

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MOS-FET 2SJ200/2SK1529
40W+40W D-NFBパワーアンプ
製作

D-NFB方式 2SJ200/2SK1529 逆立ち型パワーアンプの実験から図1の回路で何とか実用になる見込みが立ったので製作に取り掛かかることにしました。

{図1]  回路図

グリーンの背景部分は基板に組んだ回路です。ブルーの枠で囲んだ部分は、各チャンネル毎に必要な回路です。

*Rは出力のDC電圧がマイナスに傾いていたため、0Vに補正するために入れたオフセット調整抵抗です。プラスの場合は8番ピン側に*Rを接続します。この抵抗値は10kΩ以上の範囲で、ケースバイケースで調整する必要があります。出力DC電圧は±0.1V以内なら実用上問題ありません。

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製作の手始めは部品の調達です。
まず電源トランスをフェニックスに造ってもらい、注文から約2週間で品物が届きました。
ブロックコンデンサーと放熱器はサトー電気から通販で入手し、入出力端子など金ピカで高級感のあるオーディオパーツは、安曇野に住むよしみでサウンドパーツに行って仕入れてきました。
その他のパーツは行き着けのアルプス無線で調達したり、以前からストックしてあったものを利用しました。

基板にはサンハヤトのガラスエポキシ・ユニバーサル・プリント基板 293G(95mm×72mm)を使用しました。
実装密度を上げればこの半分位の大きさに収めることも可能です。その場合は、隣り合った配線がブリッジしないように繊細な配線をしなければならなくなります。私のように太く短くをモットーにした配線をするには適度なゆとりのあるスペースを必要とします。
私はプリントパターンの半田ブリッジを避けるため、部品をプリントパターン側に取り付けて、プリントパターンに半田付しない方法を取っています。
この方法はプリントパターンに部品を固定しないため、部品にかかる機械的ストレスが少ないというメリットもあります。

出力段MOS-FETを基板裏側に取り付けて、ビスで基板の上からMOS-FETを挟んで放熱器に固定しました。
このため基板と放熱器の間隔が5mm程と狭く、配線面の高さ方向の出っ張りには注意を要します。

部品取付面

配線面

 

放熱器 150mm×100mm×40mm

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ケースの最小サイズは150×150×300が必要で、既製品を使うか自作するかはありますが、如何にもアンプらしい代わり映えしないスタイルはつまらないと思い、既存の概念をぶち壊す新しいものはできないかと考えました。
ホームセンターに行くと安い値段でプラスチックのコンテナとか植木のプランターとかがあり、そのままでも、塗装したり粘着シートを貼り付けたりしてイメージを変えることでも、洒落たアンプケースに転用できそうです。
このアンプは出力段の電源全体がアースから浮いた状態で出力電圧によって振られるため、プラスチックケースなら電源トランスをアースから絶縁して取り付けられるので好都合です。
そんなことを考えていた折、丁度バーゲンセールの目玉商品になっていた台所で使う透明収納容器を見つけました。
リスの商品名パッセタイトTS-60という、ポリプロピレン製半透明乳白色の本体にシリコンゴムのパッキングのついたフタで密閉できる構造の物です。
中にトランスやブロックコンデンサーやらを入れただけでは、単なるガラクタ箱にしか見えませんが、これに入出力端子や放熱器を装備すると、得体の知れない雰囲気となって、これまでにない斬新な外観になりました。

穴あけ加工したケース

肉厚が2mmあるので思ったよりしっかりしています。穴あけは、いきなり太いドリルを当てても刃先が滑って巧く行かないので、先ずオートポンチで小さくしるしを付けて、1mmのドリルで下穴を開け、徐々に太いドリルに替えて、所定の穴径にして行きます。
やはり正確を期すには、現物合わせでやった方が確実です。トランスの例では、最初にトランスの取り付け穴の一箇所だけを開けてネジで固定し、残りの穴をトランスの穴をガイドにして開けると簡単です。。
10mm以上の大穴にはホールソーが適してます。両サイドには外側から基板をはめ込むために窓を切り抜いてありますが、これは金鋸でくり貫き木工やすりで仕上げました。その際、かなり硬質な部類のポリプロピレンだったために小さなヒビ割れを作ってしまいました。


重量のあるRコアトランスはケースの底に並べ、ブロックコンデンサーを前面の内側に取り付け、両サイドにアンプ基板を載せた放熱器を取り付けました。

プラスチック容器使用の自己評価
項目 判定 内容
原価 バーゲンで安く入手できてラッキー。普通でも¥1k以下。
加工性 アルミに比較すればやさしい。
組立て安さ 中が透けて見えるので確認しやすい。
熱に弱いので溶けた半田を落としたりすると大変。
メンテナンス性 × 手前の部品が邪魔になって奥の配線に手が届かなくなった。
調整は容器から基板+放熱器を取り外さないとできない。
独創性 スケルトンはiMACの二番煎。既成の容器をそのまんま使う点は大胆。
機能性 ACインレットを強度のない中央に配置したのは思慮に欠けていた。
内部の排熱するために通気口を上下に開けなければならなかった。
容器の取っ手部分に放熱器を配置してしまったため、放熱器を持つと手がちょっと痛い。
再利用価値 穴をダンボールなどで塞いで物入れに使える。
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実装方法が拙かったのかノイズが実験機よりも多くなってしまいました。ノイズ成分は電源リップルです。
オシロスコープでノイズ波形を観るとひげ状のスパイクが上下に飛び出していて、これがジーという耳障りな音になります。

実験機で出力段電源のRコアトランスを試してなかったので何とも云えませんが、Rコアトランスの静電シールドをアースしない方がノイズのひげが小さくなるようです。それでも残留ノイズは大きく、100Hzの歪率が不本意に大きいため、この点が解決できないと歪率のデータ-を取る気にはなりません。

容量負荷安定性は高く、発振の心配はありません。10kHz方形波の写真を以下に示します.

8Ω負荷
8Ωに0.1μFを並列負荷
0.1μFのみ負荷

周波数特性は下図のように可聴帯域内はフラットです。
0dB=1W(1kHz/8Ω)

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