Evolve power amplifiers 

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ラジオ技術2000年7月号 野呂伸一氏発表
D-NFB (NFB for Distortion only) アンプの再現実験

D-NFB方式 EL34 シングル パワーアンプの製作

D-NFBアンプの考察

D-NFBのシミュレーション

ラジオ技術2000年7月号で野呂伸一氏が発表されたD-NFB (NFB for Distortion only)方式の6G-B8シングルアンプは、私の超3極管接続Ver.3 KT90シングルアンプと似た回路ですが、超3極管接続とは異なる動作原理によって、極めて低い歪み率と極めて低い出力インピーダンスを実現しています。
詳しい内容はラジオ技術誌をご覧頂きたいと思います。

以下は再現実験を試みた報告です。

実験回路

野呂氏の回路とは使用部品が違うので、正確な再現実験になっていないことを初めに断っておきます。

実験回路のV1は初段管で、V2は歪み検出管、V3は出力管です。
V1のグリッドに入力信号電圧を加え、カソードにはV2で検出した出力段の歪み電圧を加えるようになっています。
出力段に歪みがない場合は、初段と出力段のそのままの増幅度で入力信号電圧が増幅されます。
出力段の歪みとはV2の増幅特性と比較した成分です。
従ってこの回路は出力段の増幅特性がV2の増幅特性と等しくなるように動作すると思われます。

出力管にEL34(6CA7)を使い、出力トランスはタンゴU-808を使いました。
初段管と歪み検出管は12AU7と12BH7Aを差し替えて実験してみましたが、どちらも使えます。

出力管にカソードNFBを掛けてあるのは、出力段のゲインが負荷の有無によって大きく変動しないようにするためと思われます。
カソードNFBをなくした場合は負荷を外すと発振することがあります。
初段管のプレート抵抗RPは20kΩから100kΩまで取り替えて実験してみましたが、どの抵抗値でも動作できます。

R2によって出力インピーダンスが変化します。
出力インピーダンスは負荷の有無による出力電圧の変化を測定しました。
負荷有りから負荷無しにした時、出力電圧が上昇すれば出力インピーダンスは正で上昇量が多いほど出力インピーダンスは高く、出力電圧が変化しなければ0、出力電圧が減少すればマイナスと判断できます。
R2を減らすと出力インピーダンスが小さくなり、0にすることも、更にマイナスにもできますが、減らし過ぎると発振します。
発振すると出力管に過大電流が生じ、カソード電圧が上昇します。

R1によって歪み率が変化します。
歪み率の測定には歪率計が必要です。
f=1kHz PO=1W RL=8Ωで0.01%以下を達成することもできましたが、微妙な調整を要します。
R1を減らすとV1のプレート電圧が低くなるため、残念ながら現段階では歪み率と出力インピーダンスの最小点が一致するポイントには到達できませんでした。

まだDNFBの理論的なことを詳しく理解できていないので、的外れなことをしているのかもしれません。
あるいはこの回路について、正しい解釈ができていないのかもしれません。
現在の感想はシンプルな回路でありながら、非常に高い性能が期待できるが、調整は厄介だというところです。

2000/6/18

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充分な実験や解析をしてないにも関わらず、結論を出すのは早過ぎるかと思いますが、今感じていることを記しておきたいと思います。

チューニング(調整)次第で出力インピーダンスと歪み率が変えられるので、リスナーの嗜好に合わせた特性にできそうですが、チューニングポジションがピンポイント的であるため、異なる周波数や異なる負荷インピーダンスや異なる出力では、好まない特性となることが予想され、スピーカーという動的なものに対応しきれない面があるのではないかと思います。
ノーマルな私は趣味ではないですが、音楽に揺れ動く特性を楽しむのも一興と、マニア(悪趣味な人)に受けそうな雰囲気を持っていて、一寸間違うと危ないアンプになってしまいそうで先行きが不安です。

2000/6/19

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調整を容易にする

R1とR2の調整では直流的な動作点が動いてしまうため、下図のように回路を変更して動作点を変えることなく正帰還量を可変できるようにしました。 

100kΩボリュームのスライダーをアース側からEL34の第1グリッド側へ上げて行くと正帰還が増し、出力インピーダンスが小さくなります。
出力インピーダンスを小さくしすぎると発振しますから、1Ω以下にしない方が無難です。

ついでに、出力インピーダンスを直読する簡単な測定方法を紹介します。
8Ωの負荷を接続した時の出力電圧をメーターのスケールの8の位置に合せて、次に無負荷にし、出力電圧のメーターのスケール上の変化量を読むと、それが出力インピーダンスの値です。
例えば、8Ωの負荷を接続した時の出力電圧が0.8Vで、無負荷にした時の出力電圧が1Vであれば、メーターのスケール上の変化量は1.2なので、出力インピーダンスは1.2Ωです。無負荷にした時の出力電圧が0.7Vであれば出力インピーダンスは-1Ωです。

出力インピーダンスが小さい状態では無負荷にした時に不安定になり、オシロスコープで出力電圧波形を観測すると、波形が全体的に上下に振動することで確認できます。

2000/6/26

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ゲインを増やす

μの低い12AU7では、アンプの入出力ゲインが5倍程度にしかならいので、μの大きい12AT7に交換しました。

出力段のカソードフィードバックはなくても何とか大丈夫みたいです。
RL=8Ω f=1kHzの特性は
THD=0.023%
Zo=0.9Ω
Av=13
これでようやく、実用的な性能を持ったアンプになりました。

2000/6/27

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